開業の手続き
古物商の本人確認。
断る基準を、先に作る。
本人確認は義務です。ただ、本当に効くのは「確認したうえで断れるか」のほうです。見るもの、記録するもの、1万円未満の例外。そして買ってはいけない相手の見分け方まで書きました。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年9月8日
更新 2026年9月8日
先に結論
- 確認するのは氏名・住所・生年月日・職業の4つです
- 1万円未満は原則免除。ただし免除にならない品目があります
- 非対面でも決められた方法なら買えます。見よう見まねは危険です
- 断る基準を先に作っておくこと。これが最大の防御です
何を確認するのか
古物営業法で決まっているのは4つです。
住所
身分証の記載と現住所が違う場合は現住所も聞きます
職業
忘れられやすい項目です。会社員、主婦、無職など
職業が抜けている台帳を、よく見ます。
身分証には書いていないので、口頭で聞くしかありません。
「お仕事は何をされていますか」を、確認の手順に組み込んでください。
使える身分証
顔写真つきで、公的機関が発行したものが基本です。
そのまま使えるもの
運転免許証/マイナンバーカード/パスポート/在留カード/運転経歴証明書
注意が要るもの
健康保険証(顔写真がない)/学生証(公的でない)。これらは2点以上で確認するなど、慎重な扱いが要ります
なお、マイナンバーカードのコピーを取るときは、裏面の番号を控えないでください。
マイナンバーは古物営業法で必要な情報ではなく、
不必要に取得すると別の法律に触れます。表面だけです。
1万円未満の例外と、その例外
買取金額が1万円未満なら、本人確認は原則不要です。
ただし、金額に関係なく確認が必要な品目があります。
この4つは、100円でも本人確認が要ります。
少額だからと省くと、それだけで違反です。
扱わないと決めておくのも、ひとつの運用です。
また、1万円未満でも「怪しい」と感じたら確認してください。
免除は義務がないというだけで、
やってはいけないという意味ではありません。
非対面で買うとき
宅配買取やオンラインでの買取です。
相手の顔が見えない分、方法が細かく決まっています。
- 身分証の画像を送ってもらう
それだけでは足りません。本人が持っている状態の画像や、厚みが分かる画像を求める方法が定められています
- 本人限定受取郵便を使う
買取代金や書類を、本人しか受け取れない郵便で送る方法。確実ですが手間と費用がかかります
- 振込先の名義と照合する
買取代金の振込先口座の名義が、申告された氏名と一致するかを確認します。実務上よく使われます
身分証の画像を受け取っただけ、では足りません。
ここを軽く見ている業者が実際にいます。
非対面の買取を始めるなら、認められた方法のどれを使うかを先に決めて、手順書にしてください。
断る基準を先に作る
ここが本題です。
本人確認は、確認すれば終わりではありません。
確認した結果、買わないと判断できるかです。
盗品を買ってしまうと、代金は戻りません。
被害者は1年以内なら無償で取り戻せます。
品物も代金も失うということです。
未成年である
親の同意なく買い取ると、あとから取り消される可能性があります。生年月日の確認は、この判断のためでもあります。18歳未満は買わないと決めている店が多いです
同じ品を何度も持ってくる
同じ型番のゲーム機を月に何台も、など。仕入れ先を聞いて、答えられなければ買わない。記録が残っているから気づけることです
品物と本人が釣り合わない
差別的に見る話ではありません。「どちらで手に入れられましたか」と普通に聞く。答えに詰まる、話が変わる。そこが判断の材料です
身分証を出し渋る
「金額が小さいから」「今日は持っていない」。出せない理由があるということです。金額に関わらず、この時点で断ってかまいません
新品同様で、箱もタグも揃っている
もらい物という説明は普通にあります。ただし同種の品が続く場合は別です。1点だけで判断せず、記録と合わせて見ます
断ることは、失礼ではありません。
買取は買わない自由がある商売です。
判断がつかないものを無理に買った1回が、その月の利益を消します。
「今回は見送らせてください」と言えるかどうか。ここは技術です。
盗品らしいと気づいたら
古物営業法には申告の義務があります。
買った品が盗品だと分かったとき、または疑うに足りる理由があるときは、
速やかに警察に申し出る必要があります。
黙って処分するのが一番よくありません。
記録が残っているので、あとから必ず分かります。
記録の残し方について
何を書き、いつまで保存するか。
台帳の書き方を整理しています。詳しく見る →
よくある質問
- 買取のとき、何を確認すればいいですか。
- 氏名、住所、生年月日、職業の4つです。氏名は本名で、通称は使えません。職業は身分証に書かれていないため口頭で聞く必要があり、台帳から抜けやすい項目です。確認の手順に組み込んでおいてください。
- 1万円未満なら本人確認は不要ですか。
- 原則は不要ですが、例外があります。バイクとその部品、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイ、書籍は金額に関係なく本人確認が必要です。これらは100円でも確認が要ります。また1万円未満でも不審に感じた場合は確認してかまいません。免除は義務がないというだけです。
- 健康保険証だけで本人確認をしてもいいですか。
- 顔写真がないため、それだけでは慎重さに欠けます。運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カードなど顔写真つきの公的な身分証が基本です。健康保険証を使う場合は他の書類と組み合わせるなど、複数で確認する運用にしてください。
- マイナンバーカードで確認するとき、番号を控えてもいいですか。
- 控えないでください。マイナンバーは古物営業法で必要とされる情報ではなく、不必要に取得すると番号法に触れる可能性があります。確認に使うのは表面の氏名・住所・生年月日・顔写真の部分です。コピーを取る場合も表面のみにしてください。
- 宅配買取など非対面のときはどうしますか。
- 身分証の画像を送ってもらうだけでは足りません。本人が身分証を持っている状態の画像を求める方法、本人限定受取郵便を使う方法、買取代金の振込先口座の名義と申告された氏名を照合する方法などが定められています。始める前に、どの方法を使うかを決めて手順書にしてください。
- 盗品を買ってしまった場合、どうなりますか。
- 被害者は原則として1年以内であれば無償で品物を取り戻すことができます。つまり品物も支払った代金も失うことになります。また盗品だと分かったとき、または疑うに足りる理由があるときは、速やかに警察に申し出る義務があります。だからこそ、確認したうえで買わないと判断できる基準を先に作っておくことが重要です。
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この記事は2026年9月時点の古物営業法および同法施行規則の内容をもとに書いています。運用は都道府県によって細部が異なり、改正もあります。実際の運用にあたっては、管轄の警察署の案内および専門家にご確認ください。