売り先と仕入れ
買取価格の決め方。
買値は、売り先から逆算します。
いくらで買えばいいか分からない。買取を始めた人が最初にぶつかるのはここです。答えは売り先でいくらになるかを先に知ることです。そこから経費と利益を引けば、買値の上限が出ます。順番が逆だと、一生勘のままです。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年9月8日
更新 2026年9月8日
先に結論
- 買値は売り先の値段から、経費と利益を引いて出します
- 売り先を持っていない人は、そもそも買値を計算できません
- 相場の調べ方は商材ごとに違います。金は公開、ブランドは実売、宝石は業者相場です
- 相場が読めない品は買わないか、確実に読める部分だけで値をつけます
買値は逆算で出す
買値をいくらにするか。これを直接考えても答えは出ません。
先に決まっているのは、売り先でいくらになるかのほうです。
例として、古物市場で50,000円で売れる見込みのブランドバッグを考えます。
項目金額
売り先で見込める金額50,000円
市場手数料(10%前後)−5,000円
送料・梱包−1,500円
確保したい粗利(20%)−10,000円
買値の上限33,500円
この33,500円が上限です。これより高く買えば利益は出ません。
では33,500円で買うかというと、そうとも限りません。
売れるまでの日数、傷の見落とし、相場の下落。この不確かさのぶんを引きます。
慣れないうちは、上限からさらに1〜2割引いた金額を提示してください。
経験が増えるほど、この余白を小さくできます。
余白を小さくできる人が、他店より高く買えて、しかも利益が残る人です。
商材ごとの相場の調べ方
調べ方は商材によってまったく違います。
同じ方法で全部を見ようとすると、必ずどこかで外します。
商材どこを見るか
金・プラチナ地金業者が毎日公表する店頭価格。公開されているため、誰が調べても同じ数字が出ます。ここに精錬の手数料と自社の粗利を差し引いて買値を出します
ブランドバッグ古物市場の落札実績。販売サイトの掲載価格ではありません。掲載価格は売れていない値段なので、そのまま使うと高く買いすぎます
高級時計型番ごとの市場実績。同じモデルでも製造年、箱と保証書の有無で数十万円変わります
宝石鑑別と業者間の相場。石の等級で桁が動くため、独学で最も外しやすい商材です
切手・古銭額面ではなく発行年と状態。専門の業者向け相場表があります
販売サイトの価格を相場だと思わないでください
ネットで検索して出てくるのは、売り手がつけた希望の値段です。
売れた値段ではありません。
これを基準に買値を決めると、実際には売れない金額で買うことになります。
見るべきは、実際に取引が成立した金額だけです。
相場を知っていても、状態を読み違えれば金額は合いません。
掛け率という考え方
毎回この計算をするのは現実的ではありません。
そこで実務では掛け率を使います。
売り先の見込み金額に対して、何割で買うかをあらかじめ決めておく方法です。
先ほどの例なら、50,000円に対して33,500円なので67%です。
商材ごとにこの数字を持っておけば、現場では掛けるだけで済みます。
掛け率を決めるときの考え方は3つです。
- 換金が速い商材ほど、高い掛け率にできます。すぐ現金に戻るのでリスクが小さいためです
- 状態の判断が難しい商材ほど、掛け率を下げます。見落としの保険です
- 相場の変動が大きい商材ほど、掛け率を下げます。持っている間に下がる可能性があるためです
逆に言うと、本物か偽物かを自分で判断できる商材は、掛け率を上げられます。
判断に自信がないぶんを、掛け率で埋めているだけだからです。
これが、査定ができる店ほど高く買えるのに利益も残る理由です。
相場が読めない品をどうするか
現場では必ず、見たことのない品が出ます。
そのときの選択肢は3つしかありません。
- 買わない。分からないものに値段をつけない。これは正しい判断です
- 確実に読める部分だけで値をつける。たとえば石が分からない指輪なら、
枠の金の重さだけで計算し、石はおまけとして扱います
- 持ち帰って調べる。店頭なら使えますが、出張先では使えません
現実に困るのは3番目が使えない場面です。
お客様の家に伺って、目の前で値段を言わなければならないとき。
ここで「分かりません」が続くと、次の依頼は来ません。
だから買取業では、相場を調べる力より、その場で判断できる範囲の広さのほうが、
売上に直結します。
調べれば分かることを増やすのではなく、調べなくても分かることを増やすという順番です。
よくある質問
- 買取価格はどうやって決めればいいですか。
- 売り先でいくらになるかを先に調べ、そこから手数料、送料、確保したい粗利を引いた金額が買値の上限です。売り先を持っていない段階では、この計算そのものができません。まず売り先を決めてから買値を考えてください。
- ネットで調べた価格を基準にしてもいいですか。
- 販売サイトに掲載されている価格は、売り手がつけた希望価格であって、売れた金額ではありません。これを基準にすると高く買いすぎます。見るべきは古物市場の落札実績など、実際に取引が成立した金額です。
- 掛け率はどれくらいが適正ですか。
- 商材によって変わります。換金が速く相場が公開されている貴金属は高めに、状態の判断が難しく相場の変動が大きい商材は低めに設定します。目安として売り先の見込み金額の6〜8割の範囲に収まることが多いですが、自分で本物かどうかと状態を判断できるかどうかで、同じ商材でも変わります。
- 見たことのない品を出されたらどうすればいいですか。
- 分からないまま値段をつけないでください。買わないか、確実に読める部分だけで計算するかの二択です。たとえば石の価値が分からない指輪であれば、枠の貴金属の重さだけで買値を出し、石は評価に入れないという方法があります。
- 出張買取だと持ち帰って調べられません。どうしていますか。
- その場で判断できる範囲を、あらかじめ広げておくしかありません。出張買取は目の前で金額を言えるかどうかが信用に直結します。相場を調べる力ではなく、調べなくても分かる商材を増やすという考え方で準備してください。
- 他店より高く買うと利益が出ないのではないですか。
- 本物かどうかと状態を自分で判断できれば、リスクの余白を小さくできるため、掛け率を上げても利益は残ります。判断に自信がない店は、その不安を掛け率の低さで埋めるので買値が下がります。高く買えて利益も残る店との差は、集客ではなく判断の精度にあります。
古物査定の窓口の開業サポート
フランチャイズに入らず、
自分の看板で買取店を開く。
相場は調べれば出ます。調べなくても分かる範囲を広げるほうが、現場では効きます。本物と偽物を手に取りながら、その範囲を広げます。
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この記事の数字および掛け率は当社および提携店の実務をもとにした目安です。相場は日々変動し、商材の状態や時期によって変わります。特定の取引における利益を保証するものではありません。