開業の手続き
質屋と買取店の違い。
許可も資金も、別物です。
どちらも品物を預かってお金を渡す商売に見えますが、根拠になる法律が違います。質屋には営業保証金があり、買取店にはありません。逆に質屋には、買取店にはない強みもあります。並べて比べました。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年9月8日
更新 2026年9月8日
先に結論
- 質屋は質屋営業法、買取店は古物営業法。根拠になる法律が違います
- 質屋には営業保証金が要ります。買取店には要りません
- 質屋は預かって貸す。買取店はその場で買い切る。現金の回り方が逆です
- これから始めるなら、資金の面では買取店のほうが現実的です
何が違うのか
一言でいうと、お金の渡し方が違います。
質屋は、貸す
品物を担保として預かり、お金を貸します。
お客様は期限までに元金と利息を払えば品物を取り戻せます。
払わなければ品物が質屋のものになります。これを質流れといいます。
買取店は、買う
その場で品物を買い取り、代金を渡して終わりです。
お客様が取り戻すことはできません。
そのぶん話は単純で、渡した瞬間に取引が完結します。
この違いから、必要な許可も変わります。
質屋は貸金業に近い性質を持つため、規制が重くなっています。
並べて比べる
項目質屋買取店
根拠になる法律質屋営業法古物営業法
許可の名前質屋営業の許可古物商許可
申請先都道府県公安委員会都道府県公安委員会
手数料10,000円前後19,000円
営業保証金必要(営業所ごと)不要
保管設備倉庫の基準あり基準なし
利息の上限法律で定められている該当しない
品物の流れ3ヶ月預かって質流れその場で自社のもの
始めやすさ重い軽い
営業保証金が一番の壁です
質屋営業を始めるには、営業所ごとに営業保証金を法務局に供託します。
金額は都道府県によって定められており、数十万円から数百万円が動きます。
これは費用ではなく預けるお金ですが、営業を続けている間は戻りません。
開業資金とは別に、この分の現金が必要になります。
加えて、質屋には保管設備の基準があります。
お客様の所有物を預かる商売なので、
盗難や火災に耐えられる倉庫を備えているかが審査されます。
買取店にはこの基準がありません。
預かるか、買い切るか。同じ品物でも、渡すお金の意味が変わります。
現金の回り方が逆になる
ここが実務上、一番大きな違いです。
質屋は、お金を貸して、利息で稼ぐ商売です。
50,000円を貸して、3ヶ月後に元金と利息が戻る。
戻らなければ品物が自社のものになり、それを売って回収します。
つまり、貸したお金は3ヶ月動きません。
買取店は、買って、売って、差額で稼ぐ商売です。
50,000円で買い、数日から数週間で売って現金に戻す。
回転が速いぶん、同じ資金で何度も取引できます。
質屋の強み
お客様が品物を手放さずに済むという選択肢を出せます。
思い入れのある品を持つ方には、これが決め手になります。
買取店では出せない提案です。
買取店の強み
その場で完結するため、資金の回転が速い。
同じ100万円でも、年に何回転させられるかで結果が変わります。
保証金も倉庫の基準もありません。
これから始めるなら
資金と手続きの面では、買取店のほうが現実的です。
営業保証金が不要で、倉庫の基準もなく、許可も約40日で下ります。
ただし、どちらを選んでも必要になる力は同じです。
質屋も買取店も、値段をつけられなければ成立しません
質屋は、貸す金額を決めるために品物の価値を見ます。
買取店は、買う金額を決めるために品物の価値を見ます。
やっていることは同じです。
違うのは、そのあとお金をどう渡すかだけです。
実際、質屋の許可と古物商許可の両方を持ち、
お客様に選んでもらう形で営業している店もあります。
手放したい方には買取、取り戻したい方には質。
同じ査定の力から、二つの提案が出せます。
その場合も、先に取るのは古物商許可です。
保証金が要らず、審査も軽く、買取だけなら翌日から回せます。
買取で査定の型ができてから質屋を足す、という順番のほうが
現金の面でも安全に進みます。
よくある質問
- 質屋と買取店は何が違いますか。
- 質屋は品物を担保にお金を貸す商売で、根拠になる法律は質屋営業法です。買取店はその場で品物を買い取る商売で、根拠は古物営業法です。質屋ではお客様が期限までに元金と利息を払えば品物を取り戻せますが、買取店では取り戻せません。
- 質屋を開業するのに何が必要ですか。
- 都道府県公安委員会の質屋営業の許可です。加えて営業所ごとに営業保証金を法務局に供託する必要があり、金額は都道府県によって定められています。さらに盗難や火災に耐える保管設備の基準を満たしているかが審査されます。買取店にはこれらがありません。
- 両方の許可を取ることはできますか。
- できます。実際に両方を持ち、手放したいお客様には買取、取り戻したいお客様には質という形で提案を分けている店もあります。ただし先に取るなら古物商許可です。保証金が不要で審査も軽く、買取だけなら早く回し始められます。
- 質屋のほうが利益率は高いですか。
- 一概には言えません。質屋は利息で稼ぐため利率としては高く見えますが、貸したお金は3ヶ月動きません。買取店は差額で稼ぐぶん利益率は薄くても、資金の回転が速くなります。同じ資金を年に何回転させられるかで比べてください。
- 質流れした品物はどうなりますか。
- 期限までに元金と利息の支払いがなければ、その品物の所有権は質屋に移ります。これを質流れといい、その後は自社の商品として販売します。つまり質屋も最終的には品物を売る力が必要になります。
- 結局どちらから始めるべきですか。
- 資金と手続きの面では買取店です。営業保証金が不要で、倉庫の基準もなく、許可は約40日で下ります。ただしどちらを選んでも、品物に値段をつけられなければ成立しません。貸す金額を決めるのも、買う金額を決めるのも、価値を見る作業は同じです。
古物査定の窓口の開業サポート
フランチャイズに入らず、
自分の看板で買取店を開く。
貸す金額を決めるのも、買う金額を決めるのも、価値を見る作業は同じです。どちらを選ぶにしても、先にここから始めてください。
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この記事は2026年9月時点の質屋営業法および古物営業法の内容をもとに書いています。営業保証金の額および保管設備の基準は都道府県によって異なります。実際の手続きにあたっては管轄の警察署および専門家にご確認ください。