本物と偽物
ルイヴィトンの本物と偽物。
製造番号は、本物の証明ではありません。
「シリアルナンバーを調べれば分かる」と書かれた記事をよく見かけます。半分は正しく、半分は危険です。買い取る側が番号だけで判断すると、番号のある偽物を買い、番号のない本物を断ることになります。番号が何を表しているかから書きます。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年8月15日
更新 2026年9月25日
この記事は業者向けです。買取をする立場の方に向けて書いています。買い取ってから偽物と分かると、損は買った側が負います。
先に結論
- 製造番号が表すのはいつ・どこで作られたかです。本物である証明ではありません
- 番号は模造品にも打たれます。番号があることを根拠に買わないでください
- 2021年ごろからICチップに移行し、番号の刻印がない個体があります
- 実務では番号・素材の経年・縫製・金具を積み上げ、1つでも引っかかれば止めます
製造番号は何を表しているのか
ルイヴィトンの製造番号(シリアルナンバー)は、製造した国と時期を表す記号です。
アルファベット2文字と数字4桁の組み合わせが基本で、時代によって並び方が変わっています。
アルファベット
製造した国と工場を表す記号。フランス・スペイン・イタリア・アメリカなど
数字
製造した年と週。並びの規則は年代によって変わっています
刻印の位置
品番ごとに違います。内側のタグ、ポケットの奥、革の裏。決まった1か所ではありません
つまり番号は製造の管理情報であって、
「この個体を正規品と認定した番号」ではありません。ここが出発点です。
シリアルナンバーがない。番号だけで判断できない理由。
理由は3つあります。
| 起きること | なぜ危ないか |
| 模造品にも番号がある | 規則に沿った番号が打たれています。形式が合っている=本物ではありません |
| 本物なのに番号がない | 古い年代の品、ICチップに移行した個体、革の劣化で読めなくなった品 |
| 本物の番号を写している | 実在する個体の番号をそのまま打つ手口があります。照合しても通ります |
「番号が正しいから本物」という判断のしかたが、いちばん危ないです。
番号は否定に使う道具だと考えてください。
規則から外れていれば止める。合っていても、それだけでは進めません。
ICチップへの移行で変わったこと
2021年ごろからの変化
ルイヴィトンは製品にICチップを埋め込む方式へ移行しました。
これにともない、製造番号の刻印がない個体が出ています。
チップは目に見えず、読み取る手段が一般には開かれていません。
つまり買取の現場では、チップの有無を判断材料にできません。
結果として、新しい年代の品ほど、番号での確認が使えなくなっています。
素材と造りを見る力の比重が上がった、ということです。
同じ型のルイヴィトンを2つ並べる。番号ではなく、造りで見ていきます
現場で見る順番
番号は最初に見ますが、最後の決め手にはしません。
実物で見る様子は、動画にまとめました。ヴィトンの財布とバッグ6点のうち偽物は2点。
刻印・製造番号・金具の3か所を、1点ずつ手に取りながら確かめています。
動画の内容はヴィトン偽物の見分け方で文章にしています。
動画「ヴィトン偽物の見分け方」(古物査定の窓口・約12分)
- 製造番号を確認する
あるか、位置は品番と合っているか、規則から外れていないか。外れていればここで止めます
- 革の経年を見る
持ち手やヌメ革の焼け方。使用感と色の進み方が噛み合っているか。ここは作りにくい部分です
- 縫製を見る
ステッチの本数、間隔、角の処理。全体を通して均一かどうかを見ます
- 金具を持つ
重さ、表面の仕上げ、ファスナーの動き。手に取らないと分からない部分です
- それでも判断がつかなければ、買わない
ブランドに強い同業へ回すという選択もあります。その場で結論を出さないのが防御になります
買う・買わないの線引き
開業して間もない段階では、扱う範囲を先に決めるほうが安全です。
| 品物 | 現場での扱い |
| モノグラムの定番品 | 数を見る機会が多く、比較の材料が貯まります。ここから始めます |
| 限定品・コラボ品 | 相場が動きやすく、比較対象も少ない。慣れるまで避けます |
| 状態の極端に良い古い品 | 年代と状態が噛み合わない場合があります。慎重に見ます |
ブランドバッグは、正しく見抜けても相場で損をすることがあります。
買ったら早く現金に戻す。ここは時計と同じです。
すでに買取をされている方へ
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番号は読めます。革の焼け方は、読めません。
番号の規則は文章で覚えられます。
ただ、革の経年、縫製の均一さ、金具の重さ。これらは現物を何度も触らないと基準ができません。
独学で始める場合
比較の材料がないまま判断することになります。1点の失敗が数十万円です
研修を受ける場合
本物と偽物を並べて手に取りながら5日間。買わない基準の作り方まで
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よくある質問
- 製造番号がないルイヴィトンは偽物ですか。
- そうとは限りません。古い年代の品には番号が入っていないものがあり、2021年ごろからのICチップ方式では刻印そのものがない個体があります。革の劣化で読めなくなっている場合もあります。
- シリアルナンバーで製造年は分かりますか。
- アルファベットが製造国と工場、数字が製造の年と週を表します。ただし並びの規則は年代によって変わっているため、その品番の年代に合った読み方をする必要があります。
- 番号を照合できるサイトはありますか。
- 非公式の照合ツールはありますが、規則に沿った番号は模造品にも打たれるため、通ったことを根拠に本物と判断しないでください。番号は「規則から外れていたら止める」ために使います。
- ICチップは読み取れますか。
- 一般に開かれた読み取り手段はありません。買取の現場ではチップの有無を判断材料にできないため、素材と造りを見る比重が上がっています。
- 開業したての頃、ブランドバッグは扱うべきですか。
- モノグラムの定番品など、数を見る機会が多いものから始めることをおすすめします。限定品やコラボ品は比較対象が少なく、相場も動きやすいため、慣れるまでは避けるほうが安全です。
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番号の規則は文章で覚えられます。覚えられないのは、革の経年と縫製の均一さです。そこは本物と偽物を並べて、手に取る回数でしか身につきません。
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この記事は2026年8月時点の一般的な実務をもとに書いています。
仕様や表記はブランド側の変更により変わります。特定の判別方法を保証するものではありません。
高額品の判断は、正規店や専門の鑑定機関での確認をおすすめします。