他業種からの参入
便利屋・生前整理の業者が、買取を始める。「これ売れますか」に答えられるように。
お客様の家で片付けをしていると、「これ、売れますか」と聞かれます。
そのとき、答えられるかどうか。
答えるには、許可と、決まりと、見る目の3つが要ります。
この記事は、便利屋と生前整理の業者に向けて、その順番を整理します。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年10月5日
更新 2026年10月5日

佐藤さん(開業を検討中)片付けの仕事で「これ売れますか」と聞かれたら、買い取ってもいいんですか?
先に結論安場さん
- お客様の品を引き取って売るなら、古物商許可が要ります。
片付けの作業だけなら要りません
- 生前整理アドバイザーなどの民間資格では、買い取れません
- ご本人が売り主なので、相続人の同意の問題は少なくなります。
その分、高齢のお客様との取引の決まりを先に守ります
- お客様の家に伺う買取は訪問購入。
勧誘の仕方、書面、8日間のクーリングオフがかかります
- 最初は貴金属など、相場が公開されている品から。
家に上がる仕事なので、清潔感も取引の一部です
便利屋・生前整理で、よくある場面
ご本人が元気なうちに、身の回りを整理する。
その手伝いに入ると、品物を前にこう聞かれます。
「この指輪、もう使わないけど、売れますか」
ご本人の持ち物です。
売るかどうかを決めるのも、ご本人です。
「この時計、古いけど、どうなりますか」
動かない時計にも、値が付く場合があります。
見たことがなければ、答えられません。
「ついでに、持って行ってもらえませんか」
持って行く先が処分なのか、買取なのか。
ここで、許可の話が出てきます。
遺品整理と違って、売り主はご本人です。
相続人が何人もいて、誰の同意が要るか分からない、という問題は少なくなります。
その代わり、高齢のお客様と、家の中で取引するという場面が中心になります。
この記事は、そこに絞って書きます。
許可が要る場面、要らない場面
分け目は、品物を買い受けて、売るかどうかです。
古物営業法は、古物を売買する営業をするには、都道府県公安委員会の許可を受けるよう定めています(第3条)。
代わりに売る(委託を受けて売る)営業も、古物営業に含まれます(第2条)。
許可が要らない場面
片付けや仕分けの作業をして、作業の費用を頂く
お客様がご自身で売るのを、見守る・運ぶ
引き取った品を自分で使う、または廃棄する
許可が要る場面
お客様の品を買い取って、売る
お客様の品を無料で引き取って、売る
お客様に代わって売る(委託を受けて売る)

引き取って売るなら、無料でも許可が要ります。
お金を払っていないから、とはなりません。
無許可で営業した場合は、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(古物営業法第31条)。
迷う場合は、管轄の警察署に確認してください。
許可の取り方は、古物商許可を個人で取るに書いています。
お客様の家に伺って買う場合は、あわせて古物商の行商の届出も関わります。
生前整理アドバイザーの資格では、買い取れません
生前整理の民間資格は、整理の進め方や、お客様への接し方を学ぶものです。
買取の許可は、含まれていません。
同じ話は、遺品整理士で詳しく書きました。
遺品整理士の資格だけでは、買い取れませんをご覧ください。
廃棄物の許可と古物商許可の違いは、不用品回収で捨てている物に、値段をつけるに整理しています。
現場で見積もりをする仕事の進め方は、引越しで出る不用品を、処分から買取へも参考になります。
高齢のお客様との取引で守ること
お客様の家に伺って品物を買う取引は、特定商取引法の訪問購入にあたります。
依頼を受けて伺った場合も、同じです。
消費者庁の案内で、事業者が守ることを確かめました(2026年10月5日確認)。
1 勧誘の仕方
訪問購入では、お客様の自宅で、売買契約の勧誘をすること、勧誘を受ける意思があるかを確かめることが禁じられています(不招請勧誘の禁止)。
片付けの依頼で伺って、こちらから「売りませんか」と持ちかけるのは、この点で危うくなります。
お客様の側から売りたいと言われたことが、出発点です。
2 書面
契約の申込みを受けたとき、または契約を結んだときに、品物の種類、購入価格、支払方法、引渡方法、事業者の情報などを書いた書面を渡します。
3 8日間
書面を受け取った日から8日以内なら、お客様は申込みの撤回や契約の解除ができます。
この期間中、お客様は品物の引渡しを拒むこともできます。
くわしい決まりは、出張買取のクーリングオフに整理しています。
8日以内に品物を手放した場合の通知なども、そちらをご覧ください。

消費者庁の案内に、高齢者だけの特別な決まりは書かれていません。
ただ、高齢のお客様ほど、その場で決めたことを後から悔やまれやすい。
これは当窓口の考えですが、次の運び方をお勧めします。
- 急がせない。
その場で決めなくてよいと、こちらから伝える
- 書面は、読み上げて渡す。
8日間は考え直せることを、口に出して伝える
- ご家族に伝えてよいか、聞く。
ご本人が望めば、ご家族にも同席してもらう
- 依頼の品だけにする。
話の流れで、ほかの品に広げない
- 金額の根拠を、見せる。
相場の情報を見せながら、説明する
生前整理は、ご本人とご家族の信頼で成り立つ仕事です。
買取で一度でも不信感を持たれると、整理の仕事ごと失います。
買取は、足すものではなく、信頼を壊さないように扱うものです。
お客様の家に上がる仕事です。
取引の前に、まず信頼を作ります。
買取業界専門家・安場さんの回答
お客様の家に伺う買取について、買取業界の専門家である安場さんに聞きました。
買取業界専門家・安場さんの回答
お客様のご自宅に伺う買取で、気をつけることは何ですか。
出張買取は、お客様のご自宅に訪問するので、会話の中で、使っていない品物をいろいろお譲りいただくケースが多いです。
ただここは法律の観点があります。
依頼された品以外への誘導など、不招請勧誘にあたるものもあります。
法律違反をすると、古物商許可の取り消しなど、いろいろなデメリットがあります。
研修を受けなくてもできますが、古物営業法やほかの法令・事例を、しっかり把握しておくことをお勧めします。
ご自宅に上がる時は、清潔感です。
靴、靴下、服装。
清潔感は意識してください。
これは大事です。
出張買取は、店頭買取に比べると偽物の持ち込みは少ないですが、それでもゼロではありません。
注意が必要です。
未経験の方がやりやすいのは、催事買取、次に出張買取です。
ただし出張買取は、お客様のハードルが高く、いろいろなトラブルもあります。
家に上がる仕事は、清潔感から始まります。
便利屋や生前整理の仕事は、すでに家の中で作業をする仕事です。
靴下の汚れや服装の乱れは、片付けの仕事でも、買取でも、同じように見られます。
値段が付く物の見方
最初から、何でも見ようとしないことです。
生前整理の現場で多いのは、貴金属、時計、ブランド品、切手や記念硬貨です。
まず、相場が公開されている貴金属から始めると、判断がぶれにくくなります。
貴金属の見方
刻印だけでは、本物と決められません。
見分け方は金の本物と偽物に書きました。
見たことのない品は、その場で値を付けない。
付けられない品を、無理に買わない。
ご本人の前で迷う姿を見せるより、「確認して、後日お伝えします」のほうが、信頼を損ないません。
始める順番
-
古物商許可を取る
買い取る前に、許可です。
取り方は古物商許可の記事を。
-
お客様の家に伺うなら、行商の届出を確かめる
古物商は、行商をするとき許可証を携帯する決まりです(古物営業法第11条)。
くわしくは古物商の行商に。
-
訪問購入の書面と、玄関での言い方を決める
書面を作り、伝える順番を固定します。
8日間の決まりはクーリングオフの記事に。
-
扱う品を、貴金属などに絞る
見られない品は扱わない、と先に決めます。
買い方の型は買取の3つの形に。
-
お客様から話が出たときの、答え方を決める
「これ売れますか」と聞かれたときに、慌てないための一言を用意します。
順番を守ると、ご本人にも、ご家族にも、安心してもらえます。
その安心が、次の紹介につながります。
古物査定の窓口について
値段を付ける力を、身につける
許可と決まりが整っても、品物に値段を付けられなければ、買い取れません。
古物査定の窓口は、フランチャイズに加盟せずに買取店を始めるための研修です。
5日間の対面で、本物と偽物を手に取りながら本物と偽物の見分け方を身につけ、
査定、集客、買い取った品の売り先までお伝えします。
加盟金もロイヤリティもありません。
開業サポートの中身を見る
5日間の研修で、査定と売り先の作り方を
よくある質問
- 便利屋が、お客様の不要品を引き取って売るには、許可が要りますか
- 要ります。
品物を買い受けて売る、無料で引き取って売る、委託を受けて売る、のいずれも古物営業にあたり、都道府県公安委員会の許可が必要です(古物営業法第3条)。
片付けの作業だけをして費用を頂く場合は、許可は要りません。
迷う場合は、管轄の警察署に確認してください。
- 生前整理アドバイザーの資格があれば、買い取れますか
- 買い取れません。
生前整理の民間資格は、整理の進め方などを学ぶもので、買取の権利は含まれていません。
買い取って売るには、古物商許可が別に必要です。
- 高齢のお客様の家で買い取るとき、どんな決まりがありますか
- お客様の家に伺って買う取引は、特定商取引法の訪問購入にあたります。
自宅での勧誘の禁止、書面の交付、書面を受け取った日から8日間のクーリングオフ、期間中の引渡し拒絶などが定められています。
消費者庁の案内に、高齢者だけの特別な決まりは書かれていませんが、急がせない、書面を読み上げる、ご家族に伝えてよいか聞く、といった運び方をお勧めします。
- 片付けの依頼で伺って、売れそうな品を見つけたら、声をかけてよいですか
- 声のかけ方に注意が必要です。
訪問購入では、自宅での勧誘や、勧誘を受ける意思があるかの確認が禁じられています。
依頼された品以外への誘導も、不招請勧誘にあたるものがあると、買取業界専門家の安場さんは話しています。
お客様の側から売りたいと言われたことを出発点にしてください。
判断に迷う場合は、消費者庁の案内や専門家に確認してください。
- お客様が、ご自身でネットで売るのを手伝うだけなら、許可は要りますか
- お客様が売り主のままで、こちらが品物を買い受けたり、代わりに売ったりしないのであれば、古物営業にはあたらない場合があります。
ただし、手数料を受け取って代わりに売る形は、委託を受けて売る営業にあたる可能性があります。
判断に迷う場合は、管轄の警察署に確認してください。
- 何から買い取れるようになるのが、いいですか
- 相場が公開されている貴金属からをお勧めします。
見たことのない品は、その場で値を付けず、確認して後日お伝えするほうが、信頼を損ないません。
見分け方と買値の決め方は、当サイトの別記事に整理しています。
※ 古物営業の許可は古物営業法第3条・第2条・第11条・第31条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108、2026年10月5日確認)、訪問購入の決まりは消費者庁の特定商取引法ガイド「訪問購入」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/、2026年10月5日確認)にもとづきます。お客様の家での取引の注意点と始める順番は、買取業界専門家・安場さん(古物査定の窓口)の回答(2026年10月5日)と、当窓口の考えです。許可の要否について判断に迷う場合は、管轄の警察署にご確認ください。