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他業種からの参入

ハウスクリーニング・家事代行の会社が、お客様の家の不用品を買い取る。

掃除や家事の作業中に、「これ、もう使わないんだけど」と言われる。お客様の家に入る仕事では、よくある場面です。ただ、伺うのは多くの場合スタッフ一人です。買取を足すなら、決まりを会社で決めて、全員にそろえることから始めます。

先に結論安場さん
  • ハウスクリーニング・家事代行の会社が不用品を買い取って売るには、古物商許可が要ります。
    許可は会社で取り、スタッフに買いに行かせるときは行商従業者証を持たせます
  • お客様の家で買う取引は訪問購入です。
    掃除の最中にこちらから売るよう勧めることは禁じられ、書面と8日間のクーリング・オフがかかります
  • 持ち運びが容易でない家電や家具・書籍は、訪問購入の決まりの対象外です。
    それでも古物営業法の本人確認と帳簿は要ります
  • 買い取らずに処分として運ぶ物は、市区町村の一般廃棄物の許可(または委託)が要ります。
    古物商許可では運べません

掃除と家事の現場で出る、買取の話

買取の話は、作業中にお客様の側から「これ使わないから持って行ける?」と出ることが多く、そのとき決まりを知らないスタッフが一人で答えることになるのが、この業種の難しい所です。
よくある場面を並べます。

場面そこで起きること
エアコンクリーニングの日に「古いほうのエアコンも引き取れる?」買い取るのか、処分として運ぶのかで、要る許可が変わる
家事代行の片付けで「このバッグ、もう使わないの」ブランド品は訪問購入の決まりがかかる品
引越し前後のクリーニングで「置いていく物、どうにかならない?」住まいを引き払うときの取引には、決まりの例外がある
スタッフが売れそうな品に気づくこちらから声をかけるのは、不招請勧誘にあたるおそれ

どれも、スタッフがその場で返事をしたくなる場面です。
ここで「たぶん大丈夫です」と言ってしまうと、許可、書面、本人確認のどれかが抜けます。
だから答え方を会社で決めて、全員にそろえるのが最初の仕事です。

許可は会社で。スタッフには従業者証を

古物商許可は会社で取り、お客様の家にスタッフを行かせて買うときは、行商従業者証を持たせます。
古物を買い取って売る営業、委託を受けて売る営業をするには、都道府県公安委員会の許可が要ります(古物営業法第2条・第3条)。
ハウスクリーニングや家事代行の届出や資格には、買取の許可は含まれていません。

許可を取るのは会社 法人で取る場合は、役員全員分の書類が要ります。
手数料は19,000円、審査は40日前後です。
書類は法人で古物商許可を取るに書きました。
伺うスタッフには従業者証 古物商は、従業者に行商をさせるとき、行商従業者証を持たせなければなりません。
お客様から見せるよう求められたら、見せます(第11条)。
くわしくは古物商の行商に。

スタッフが買い取る場合も、手続きは会社の手続きです。
相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめ(第15条)、取引の内容を帳簿などに記録します(第16条)。
1回の対価の合計が1万円未満なら、本人確認は原則として要りません。
ただし、次の品は1万円未満でも確かめます(古物営業法施行規則第16条)。

エアコンクリーニングをしている会社なら、室外機が1万円未満でも本人確認が要ることは、スタッフ全員に伝えておきたい点です。
本人確認の手順は古物商の本人確認に、帳簿の付け方は古物台帳の書き方にあります。

訪問購入の決まりがかかる品、かからない品

お客様の家で買う取引は訪問購入にあたりますが、持ち運びが容易でない家電、家具、書籍などは、その決まりの対象外の品として定められています。
特定商取引法の訪問購入では、こちらからの勧誘の禁止(第58条の6)、書面の交付(第58条の7・第58条の8)、書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフ(第58条の14)、その間の引渡しの拒絶(第58条の15)が定められています。
対象外の品は、特定商取引法施行令第34条にあります。

品物訪問購入の決まり古物営業法の本人確認・帳簿
貴金属、腕時計、ブランドのバッグ、着物、切手などかかる要る
持ち運びが容易な家電(カメラ、小型の家電など)かかる要る
持ち運びが容易でない家電(エアコン、冷蔵庫など)対象外要る
家具対象外要る
書籍、CD・DVDなど対象外要る(1万円未満でも本人確認)
掃除の最中に、こちらから売るよう勧めない 訪問購入では、勧誘の要請をしていない人に、自宅などで売買の勧誘をすることも、勧誘を受ける気があるかを確かめることも禁じられています。
掃除の依頼で伺ったスタッフが、売れそうな品を見つけて「これ買い取れますよ」と持ちかけるのは、この決まりに触れます。
お客様の側から言われたことが、出発点です。

引越しで住まいを引き払うとき、お客様の側から来てほしいと頼まれた取引は、書面やクーリング・オフの決まりの多くがかからない形として定められています(特定商取引法施行令第37条、同施行規則第150条)。
ただ、退去前のクリーニングで伺っただけでは、この形に当てはまるとは限りません。
当窓口は、訪問購入の決まりがかかる品は、書面を渡して8日間お待ちする運び方に統一することをお勧めします。
スタッフごとに判断を変えないためです。
くわしくは出張買取のクーリングオフに整理しています。

買わない物を運ぶなら、別の許可

値段が付かず処分として運ぶ物は、市区町村の一般廃棄物の許可(または委託)が要り、古物商許可では運べません。
家庭から出る不用品を処分として運ぶ仕事は、ごみを運ぶ仕事です。
古物商許可は、買い受けるための許可です。

無償で引き取る形にすれば許可が要らないか、という質問もよく出ます。
愛知県警察と熊本県警察は、まったくの無償で譲り受けた物を売る場合は、古物商許可は要らないと案内しています。
一方で環境省は、家電リサイクル法の4品目以外の使用済みの家電でも、無料で引き取られる場合や安く買い取られる場合に、直ちに有価物と判断すべきではないと都道府県などに通知しています(2012年3月)。
古物商許可が要らなくても、廃棄物の許可の問題は残るということです。
回収と買取の許可の違いは、不用品回収で捨てている物に、値段をつけるにまとめました。

査定のために並べたブランドのバッグと時計・宝飾品
ブランド品は、訪問購入の決まりがかかる品です。
書面と8日間を前提に扱います。

買取業界専門家・安場さんの回答

安場さんが挙げたのは、依頼された品以外へ誘導しないこと、清潔感、偽物の持ち込みはゼロではないこと、の3つです。
お客様の家に伺う買取について、買取業界の専門家である安場さんに聞きました。

買取業界専門家・安場さんの回答 お客様のご自宅に伺う買取で、気をつけることは何ですか。

出張買取は、お客様のご自宅に訪問するので、会話の中で、使っていない品物をいろいろお譲りいただくケースが多いです。
ただここは法律の観点があります。
依頼された品以外への誘導など、不招請勧誘にあたるものもあります。

ご自宅に上がる時は、清潔感です。
靴、靴下、服装。
清潔感は意識してください。
これは大事です。

出張買取は、店頭買取に比べると偽物の持ち込みは少ないですが、それでもゼロではありません。
注意が必要です。

清潔感は、掃除と家事の会社がすでに持っている強みです。
足りないのは、品物を見て値段を決める目と、判断がつかない物をその場で買わない決まりです。
偽物を買ってしまった場合の流れは、偽物を買ってしまったらにあります。

始める順番

スタッフの答え方を決め、古物商許可と行商従業者証を用意し、訪問購入の書面を作ってから、扱う品を絞って始めます。

  1. スタッフの一言を決める 「これ売れる?」と聞かれたら、「買取の担当から、改めてご連絡してよいですか」。
    その場で値段を言わない、品物を預からない、を決まりにします。
  2. 古物商許可を会社で取る 取扱う品目の区分も決めます。
    区分の選び方は古物商の13品目に。
  3. 行商従業者証と、本人確認・帳簿の手順を用意する 伺うスタッフに従業者証を持たせ、1万円未満でも確かめる品の一覧を渡します。
  4. 訪問購入の書面を作る 品物、価格、支払と引渡しの方法、8日間のことを書いた書面です。
    読み上げて渡す順番も決めておきます。
  5. 処分は、一般廃棄物の許可業者に任せる形を確かめる 値段が付かない物の行き先を、先に決めておきます。

順番を守ると、スタッフが一人で伺っても、答え方がぶれません。
お客様から見れば、掃除を頼んでいる会社に、不用品の相談もできるという形になります。

よくある質問

ハウスクリーニングの会社が、お客様の不用品を買い取るには許可が要りますか。
要ります。
品物を買い取って売る、委託を受けて売る、のどちらも古物営業にあたり、都道府県公安委員会の古物商許可が必要です(古物営業法第3条)。
ハウスクリーニングや家事代行の資格や届出には、買取の許可は含まれていません。
家事代行のスタッフが、お客様の家で品物を買い取ってもいいですか。
会社が行商をする形で古物商許可を取り(古物営業法第5条)、スタッフに行商従業者証を持たせれば、スタッフがお客様の家で買い取ることはできます(古物営業法第11条)。
ただし、お客様の家で買う取引は訪問購入にあたり、こちらから売るよう勧めることは禁じられています。
書面の交付と8日間のクーリング・オフもかかります。
エアコンクリーニングのついでに、古いエアコンを買い取る場合も書面やクーリング・オフは要りますか。
持ち運びが容易でない家電は、特定商取引法の訪問購入の決まりの対象外の品として定められています(特定商取引法施行令第34条)。
ただし、古物営業法の本人確認と帳簿の記録は要ります。
エアコンの室外ユニットは、対価が1万円未満でも本人確認が必要です。
1万円未満の買取なら、本人確認はしなくていいですか。
原則として不要ですが、例外があります。
エアコンの室外ユニット、家庭用ゲームのソフト、CDやDVDなど、書籍、バイクと原付とその部品、電線などは、1万円未満でも本人確認が必要です(古物営業法施行規則第16条)。
お客様から無料で引き取った不用品を売るだけなら、許可は要りませんか。
まったくの無償で譲り受けた物を売る場合は、古物商許可は要らないと愛知県警察や熊本県警察が案内しています。
ただし、引き取った物が廃棄物にあたれば、運ぶにも処分するにも市区町村の一般廃棄物の許可などが要ります。
環境省は、家電リサイクル法の4品目以外の家電でも、無料で引き取られるだけで直ちに有価物と判断すべきではないと通知しています。
掃除中に、売れそうな品を見つけたらお客様に伝えてもいいですか。
こちらから売るよう持ちかけるのは避けてください。
訪問購入では、勧誘の要請をしていない人に自宅で勧誘することや、勧誘を受ける気があるかを確かめることが禁じられています。
お客様の側から売りたいと言われたことを出発点にします。
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この記事は2026年10月10日時点の法令と公的な案内をもとに書いています。古物営業の許可・行商従業者証・本人確認・帳簿は古物営業法第2条・第3条・第5条・第11条・第15条・第16条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108)、1万円未満でも本人確認が要る品は古物営業法施行規則第16条(https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50400000010)、訪問購入の決まりは消費者庁の特定商取引法ガイド「訪問購入」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/)、対象外の品は特定商取引法施行令第34条、住まいを引き払う場合の扱いは同施行令第37条・同施行規則第150条、無償で引き取った物の販売の扱いは愛知県警察の古物営業のよくある質問(https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/sonota/qanda.html)と熊本県警察の案内(https://www.pref.kumamoto.jp/site/police/128250.html)、使用済家電の廃棄物該当性は環境省の報道発表(2012年3月20日 https://www.env.go.jp/press/14992.html)、申請手数料(19,000円)と審査期間(40日前後)は熊本県警察の案内によります(いずれも2026年10月10日確認)。お客様の家での取引の注意点は、買取業界専門家・安場さん(古物査定の窓口)の回答と当窓口の考えです。許可の要否は管轄の警察署と自治体にご確認ください。

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