他業種からの参入
骨董・美術品店が、貴金属やブランド品も買う。得意が逆の商売を、足す話です。
骨董の店には、掛軸や茶道具と一緒に、指輪や時計が持ち込まれます。反対に、貴金属やブランド品の買取店には、古い壺や刀が持ち込まれます。骨董店は目利きの店で、買取店は相場の店。得意がちょうど逆なので、足す物もはっきりしています。両方の向きから書きます。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年10月10日
更新 2026年10月10日
この記事は業者向けです。
骨董品店・美術品店・古道具店の方と、骨董の持ち込みに備えたい貴金属・ブランド品の買取店の方に向けて書いています。
先に結論安場さん
- 骨董・美術品は1番の美術品類(書画、彫刻、工芸品等)。
貴金属・時計は3番、バッグは11番です。
扱うなら変更の届出で区分を足します(古物営業法施行規則第2条・第5条)
- 相場の出方が逆です。
金・プラチナは相場が公開されていますが、骨董は品ごとに値段が決まります
- お客様の家で買えば訪問購入。
家具や家電は対象外の品ですが、骨董・収集品として取引される品は、家具や家電でも対象と消費者庁の通達は書いています
- 象牙の製品を売買する事業は、種の保存法の登録(特別国際種事業者)が要ります。
登録を受けた刀剣を譲り受けたら、20日以内に教育委員会へ届出です(銃刀法第17条)
- 金や銀でできた骨董は、地金としての値段と、品物としての値段の両方を見ます
骨董店と買取店は、得意が逆
骨董店は品ごとに値段を見立てる目利きの店で、貴金属・ブランドの買取店は公開された相場から値段を出す店です。
だから、足す側に要る物も、それぞれはっきりしています。
骨董・美術品店
作者、時代、出来、来歴。
一点ごとに見立てる力があります。
足りないのは、貴金属の素材の確かめと、ブランド品が当社の査定基準の内か外かを見る目です。
貴金属・ブランドの買取店
相場、刻印、型番。
数字で値段を出す力があります。
足りないのは、相場のない品を見立てる目と、骨董に特有の決まりの知識です。
どちらの店にも、得意でない品は持ち込まれます。
断れば、お客様はその品を持って、別の店に行きます。
受けられる範囲を少し広げるのが、この記事の話です。
区分を足す
骨董・美術品は1番の美術品類で、貴金属・時計は3番、バッグは11番なので、扱う品の区分が許可に入っていなければ届出で足します。
古物営業法施行規則の第2条の区分です(e-Gov法令検索、2026年10月10日確認)。
| 区分 | 条文に書かれている中身 | この記事で関わる品 |
| 1番 美術品類 | 書画、彫刻、工芸品等 | 掛軸、絵、置物、工芸品 |
| 3番 時計・宝飾品類 | 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等 | 指輪、ネックレス、腕時計 |
| 10番 道具類 | 家具、じゅう器、運動用具、楽器など | 古道具、家具、器 |
| 11番 皮革・ゴム製品類 | カバン、靴等 | ブランドバッグ |
区分は許可申請書に書く事項で(古物営業法第5条第1項第3号)、変更があったら届け出ます(第7条第2項)。
施行規則では、変更の日から14日以内(登記事項証明書を付ける場合は20日以内)です(施行規則第5条第6項)。
茶道具の金属の器や、金・銀の工芸品など、どの区分で扱うか迷う品は、扱う前に管轄の警察署に確かめてください。
相場の出方が違う
金・プラチナは毎日の相場から重さで値段が出ますが、骨董は同じ品が二つとないので、売り先での値段を品ごとに見立てます。
違いを並べます。
| 見る所 | 貴金属 | ブランドバッグ・時計 | 骨董・美術品 |
| 値段の元 | 公開された地金の相場 | 同じ型の品の取引の値段 | 品ごとの見立て |
| 確かめること | 刻印、素材、重さ | 当社の査定基準の内か外か、付属品、状態 | 作者・時代・出来・傷・来歴 |
| 売り先 | 地金商、精錬業者など | 店頭、業者の市場 | 店頭、業者の市場 |
| 換金までの速さ | 速い | 品による | 品による |
骨董店から見ると、貴金属は見立てる必要がない分、楽な商材です。
ただし刻印は材質の申告で、保証ではありません。
見方は金の刻印の見方、売り先は金・プラチナの売り先にまとめています。
金や銀でできた骨董は、二つの値段で見る
金の工芸品、銀の器、銀の茶道具。
こうした品には、地金として溶かした場合の値段と、品物として売れる値段の二つがあります。
当窓口では、地金の値段を下の目安にして、品物としての値段がそれより高いかを見る、という順番を勧めています。
骨董の目で見ていた品が、地金の目で見ると違う値段になることがあるからです。
貴金属は、刻印・素材・重さから値段の根拠を取ります。
骨董ならではの決まり
骨董を扱うときに重なる決まりは、訪問購入、象牙の登録、刀剣の届出の3つです。
どれも、条文と公的機関の案内で確かめた範囲で書きます(2026年10月10日確認)。
家具や家電でも、骨董なら訪問購入の対象です
お客様の家など、営業所以外の場所で品物を買う取引は、特定商取引法の訪問購入です(第58条の4)。
政令で、家具、家庭用の電気機械器具(持ち運びが容易な物を除く)、自動車、書籍などは対象外とされています(施行令第34条)。
ところが消費者庁の通達は、骨とう品や収集品として取引されるような物品は、これらに当たりうる物でも、骨とう品・収集品として規制の対象になるとしています。
古い箪笥や、昔の真空管ステレオを、お客様の家で買う。
家具や家電だから決まりの外、とは限らないということです。
書面の交付と、書面を受け取った日から8日間のクーリングオフは出張買取のクーリングオフに整理しています。
象牙の製品を売買する事業は、登録が要ります
象牙の印章などの製品を譲り渡す事業は、種の保存法の特別国際種事業者の登録を受けて行います(種の保存法第33条の6)。
形を保った牙(全形牙)は、個体等の登録を受けた物でなければ、譲渡しや引渡しはできません(同法第12条)。
手続きの窓口は、環境省の案内では、一般財団法人自然環境研究センターです。
古物商許可とは別の登録なので、象牙の製品を扱う前に、登録の要否を確かめてください。
登録を受けた刀剣を譲り受けたら、20日以内に届出です
美術品として価値のある刀剣類は、都道府県の教育委員会が登録をします(銃刀法第14条)。
登録を受けた刀剣類を譲り受けた者は、20日以内に、その登録の事務を行った都道府県の教育委員会に届け出ます(同法第17条第1項)。
刀剣類は、登録を受けた物などの例外を除き、所持が禁じられています(同法第3条)。
登録証が付いていない刀を持ち込まれたら、買わずに警察署に相談してください。
買取店に骨董が持ち込まれたら
相場のない品は、その場で値段を付けず、区分と売り先が決まっている品だけを買います。
貴金属やブランド品の買取店に、掛軸や壺が持ち込まれることがあります。

見立てられない品を、無理に買わない
相場のない品に、相場のある品の感覚で値段を付けると、外れたときの損が読めません。
美術品類の区分が許可に入っていなければ、そもそも扱う前に届出が要ります。
「確認して、後日お伝えします」と言えるようにしておくほうが、信頼を損ないません。
骨董を受けるなら、売り先を先に作ります。
業者の市場には、市場ごとに強い商材と弱い商材があります。
安場さんは、こう話しています。
買取業界専門家・安場さんの回答
古物市場で、損をしやすいところはどこですか。
市場ごとに特色があります。
この商材が強い・弱いというのがあり、経験者はそれを知っています。
知らないだけで、大きな利益の損失が出ます。
時間をかけて損をしながら覚えるのも一つの手ではあります。
骨董は、どの市場に出すかで値段が変わりやすい商材です。
市場の使い方は古物市場とはにまとめています。
始める順番
区分を確かめて足し、扱う品を絞り、骨董に特有の決まりを確かめてから、売り先を決めて始めます。
- いまの許可の区分を確かめる
骨董店なら3番・11番、買取店なら1番(古道具や器は10番)が入っているか。
なければ変更の届出です。
- 最初に足す品を絞る
骨董店が足すなら、相場が公開されている貴金属から。
買取店が足すなら、見立てられる範囲の品だけにします。
- 骨董ならではの決まりを確かめる
家で買う骨董は訪問購入。
象牙は登録。
刀剣は登録証と20日以内の届出。
扱う前に、窓口に確かめます。
- 売り先を決める
貴金属は地金商や精錬業者、骨董とブランド品は店頭か業者の市場。
売り先が決まると、買値が計算できます。
- 本人確認と台帳の流れを作る
相手の住所・氏名・職業・年齢の確認と、台帳への記録(古物営業法第15条・第16条)。
やり方は本人確認の方法に。
目利きの店が相場の品を足す。
相場の店が目利きの品に備える。
どちらも、自分の得意でない所を、決まりと売り先から先に固めることが出発点です。
よくある質問
- 骨董品店が貴金属やブランド品を買い取るには、何が要りますか。
- 古物商許可に、扱う品の区分が入っている必要があります。
骨董・美術品は1番の美術品類、時計・貴金属・宝石は3番の時計・宝飾品類、バッグは11番の皮革・ゴム製品類です(古物営業法施行規則第2条)。
入っていなければ、変更の届出で足します。
施行規則では、変更の日から14日以内(登記事項証明書を付ける場合は20日以内)です。
- お客様の家で古い箪笥を買う場合も、訪問購入の決まりはかかりますか。
- かかる場合があります。
家具や持ち運びが容易でない家電は訪問購入の対象外の品ですが(特定商取引法施行令第34条)、消費者庁の通達は、骨とう品や収集品として取引されるような物品は、骨とう品・収集品として規制の対象になるとしています。
骨董として買うなら、書面の交付やクーリングオフの決まりを前提に準備してください。
- 象牙の置物や印鑑を買い取ってもいいですか。
- 象牙の製品を譲り渡す事業は、種の保存法の特別国際種事業者の登録を受けて行います(第33条の6)。
形を保った牙(全形牙)は、登録を受けた物でなければ譲渡しや引渡しができません。
古物商許可とは別の登録なので、扱う前に環境省の案内で手続きを確かめてください。
- 刀を買い取ったら、何か手続きは要りますか。
- 登録を受けた刀剣類を譲り受けた者は、20日以内に、その登録の事務を行った都道府県の教育委員会に届け出ます(銃刀法第17条第1項)。
刀剣類は、登録を受けた物などの例外を除いて所持が禁じられているため(同法第3条)、登録証が付いていない刀を持ち込まれたら、買わずに警察署に相談してください。
- 貴金属の買取店に掛軸や壺が持ち込まれたら、どうすればいいですか。
- 美術品類の区分が許可に入っていなければ、まず扱えません。
入っていても、相場のない品に、相場のある品の感覚で値段を付けると、外れたときの損が読めません。
見立てられない品はその場で値段を付けず、確認して後日お伝えするか、お断りするほうが信頼を損ないません。
- 金や銀でできた骨董は、どう値段を見ますか。
- 地金として溶かした場合の値段と、品物として売れる値段の二つがあります。
当窓口では、地金の値段を下の目安にして、品物としての値段がそれより高いかを見る順番を勧めています。
地金の値段は、刻印・素材の確かめ・重さと、公開されている相場から出します。
この記事は2026年10月10日時点の法令と公的機関の案内をもとに書いています。実際の手続きは、管轄の警察署・環境省の窓口・都道府県の教育委員会にご確認ください。
出典:古物営業法(e-Gov法令検索)(第5条・第7条・第15条・第16条)、古物営業法施行規則(e-Gov法令検索)(第2条・第5条)、特定商取引法(e-Gov法令検索)(第58条の4)、特定商取引法施行令(e-Gov法令検索)(第34条)、消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について」(通達)(骨とう品・収集品の扱い)、種の保存法(e-Gov法令検索)(第12条・第33条の6)、環境省「種の保存法 手続きの窓口」、銃砲刀剣類所持等取締法(e-Gov法令検索)(第3条・第14条・第17条)(いずれも2026年10月10日確認)。
金や銀の骨董を二つの値段で見る順番は当窓口の考え、「買取業界専門家・安場さんの回答」は2026年10月5日に当社が聞き取った内容です。