他業種からの参入
石材店・墓じまいの業者が、仏壇と家の物の相談を受ける。
墓じまいの相談で、ご家族と何度も話をする。そのうちに、「家の仏壇はどうしよう」「実家の物も片付けないと」という話が出てきます。この記事は、石材店と墓じまいの業者に向けて、その相談を受けて買取まで扱うときに、先に決めることを書きます。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年10月10日
更新 2026年10月10日
先に結論安場さん
- 石材店や墓じまいの業者が、仏壇の中の物や遺品を買い取って売るには、古物商許可が要ります。
墓石の撤去や改葬の手続きの手伝いは、買取とは別の仕事です
- 仏壇・仏具と、ほかの遺品は、持ち主が違います。
仏壇や仏具は祭祀を主宰する人が、ほかの遺品は相続人が引き継ぎます(民法第897条・第896条)
- お客様の家で買う取引は訪問購入です。
墓じまいの打ち合わせの流れで、こちらから売るよう勧めることは禁じられています
- 遺骨・位牌・写真・手紙は売買の対象にしません。
最初に分けて、ご家族に渡します
墓じまいの相談で、一緒に出てくる話
墓じまいの相談は、仏壇をどうするか、実家の物をどうするか、という家全体の話につながりやすく、石材店はその相談を最初に受ける立場にいます。
お墓の遺骨をほかの墓地や納骨堂に移す改葬には、市町村長の許可が要ります。
厚生労働省の資料では、令和4年度の改葬の件数は151,076件です(衛生行政報告例)。
墓じまいでは、ご家族と、改葬の手続き、閉眼の供養、撤去の日取りと、何度もやり取りをします。
その間に、話は墓の外に広がります。
| 出てくる話 | 石材店から見た意味 |
| 「家の仏壇も、もう置いておけない」 | 仏壇の中や引き出しに、仏具や記念の品が入っている |
| 「実家を片付けてから、引き払う」 | 家財の中に、貴金属や時計が混ざる |
| 「遠方なので、何度も来られない」 | 墓と家のことを、まとめて頼める先を探している |
墓石を扱う仕事で、仏壇や家財の相談に答えられないと、その先は別の業者に渡ります。
葬儀社が同じ立場にいる話は葬儀社が買取を始めるに書きました。
石材店が違うのは、お墓という、家の物とは別の財産から話が始まる点です。
仏壇・仏具と、ほかの遺品は、持ち主が違う
仏壇や仏具は祭祀を主宰する人が引き継ぎ、ほかの遺品は相続人が引き継ぐので、買うときの売り主が変わります。
民法は、系譜・祭具・墳墓の所有権は、相続の決まりとは別に、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぐと定めています(第897条)。
亡くなった方が祭祀を主宰する人を指定していれば、その人です。
一方、それ以外の財産は相続人が引き継ぎます(第896条)。
| 物 | 引き継ぐ人 | 買うときの売り主 |
| お墓(墳墓) | 祭祀を主宰する人 | 買取の対象にしない(墓じまいは今の仕事の流れで) |
| 仏壇・仏具 | 祭祀を主宰する人 | 祭祀を主宰する人 |
| 貴金属・時計・ブランド品・着物・切手など | 相続人 | 相続人(遺産分割が済んでいなければ、相続人全員の了承を) |
| 遺骨・位牌・写真・手紙 | 物によって違う(位牌は祭具) | 売買の対象にしない。 ご家族に渡す |

墓じまいの依頼主が、遺品の売り主とは限りません
墓じまいを頼んできた方が、祭祀を引き継いだ長男で、ほかにきょうだいがいる、ということはよくあります。
仏具はその方から買えても、実家の貴金属は相続人全員の物です。
きょうだいの了承があるかを確かめずに買うと、あとで揉める原因になります。
相続が絡む判断は、司法書士や弁護士にご相談ください。
許可が要る場面、要らない場面
仏具や遺品を買い取って売る、代わりに売るなら古物商許可が要り、墓石の撤去や仏壇の処分の手配だけなら要りません。
古物営業法は、古物を売買する営業、委託を受けて売買する営業をするには、都道府県公安委員会の許可を受けるよう定めています(第2条・第3条)。
| やること | 古物商許可 |
| 墓石を撤去し、処分する | 関係しない(今の処分の流れで) |
| 仏壇の処分を手配する | 関係しない(処分として運ぶなら、廃棄物の許可か許可業者への委託) |
| 仏具や遺品を買い取って、売る | 要る |
| ご家族に代わって売る(委託を受けて売る) | 要る |
| まったくの無償で譲り受けた物を売る | 要らないと案内する県警がある(愛知県警察・熊本県警察) |
無償で譲り受ける形でも、引き取った物が廃棄物にあたれば、運ぶにも処分するにも市区町村の一般廃棄物の許可(または委託)が要ります。
古物商許可は、買い受けるための許可で、処分の許可の代わりにはなりません。
取扱う品目の区分は古物商の13品目に、許可の取り方は古物商許可を個人で取るに、会社で取る場合は法人で古物商許可を取るに書いています。
お客様の家で買うときの決まり
ご家族の家や実家に伺って買う取引は訪問購入にあたり、こちらからの勧誘の禁止、書面の交付、8日間のクーリング・オフがかかります。
消費者庁の特定商取引法ガイドで、事業者が守ることを確かめました(2026年10月10日確認)。
こちらから勧めない
勧誘の要請をしていない人に、自宅などで売買の勧誘をすることも、勧誘を受ける気があるかを確かめることも禁じられています(第58条の6)。
書面を渡す
申込みや契約のときに、品物の種類、買取価格、支払と引渡しの方法、クーリング・オフのことなどを書いた書面を渡します(第58条の7・第58条の8)。
8日間は考え直せる
書面を受け取った日から数えて8日以内なら、申込みの撤回や契約の解除ができます。
その間、お客様は品物の引渡しを拒めます(第58条の14・第58条の15)。
本人確認と記録
買い受けるときは相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめ(古物営業法第15条)、取引を帳簿などに記録します(第16条)。
進め方は古物商の本人確認に。
受け取る場所にも決まりがあります。
古物商が古物商以外の人から買い受けるために品物を受け取れるのは、自社の営業所か、相手の住所・居所です。
例外は、日時と場所をあらかじめ公安委員会に届け出た仮設店舗だけです(古物営業法第14条)。
墓地や霊園で、ご家族から仏具を受け取って買う形は、この決まりに当てはまりません。
誰も住んでいない実家で受け取る場合も、売り主の住所・居所にあたるかを、管轄の警察署に確かめてから始めてください。
家に伺う買取の決まりは出張買取のクーリングオフにくわしく書いています。
切り出し方を間違えない
買取の話は、ご家族の側から仏壇や家の物の相談が出たときにだけ、片付けの手伝いの一項目として出します。
墓じまいは、ご先祖のことを整理する場です。
その打ち合わせの席で、こちらから「仏具を買い取りますよ」と持ちかけると、物を目当てに来たように受け取られます。
お客様の家での打ち合わせなら、訪問購入の決まりにも触れます。

伝え方の例
仏壇やご実家の片付けも、ご相談いただけます。
その際、値段が付く物があれば、書面をお渡ししたうえで買い取らせていただくこともできます。
位牌やお写真は、先に分けてご家族にお返しします。
ご家族が気にされるのは、金額より、大切な物を間違って処分されないかです。
仏壇の引き出しには、思い出の品と、値段が付く物が一緒に入っています。
それを分けて見られる人がいることが、墓じまいを任せる理由にもなります。
仏壇や引き出しから出た物は、売る物と、ご家族に返す物に分けてから見ます。
買取業界専門家・安場さんの回答
未経験なら、やりやすいのは催事買取、次に出張買取。
費用に余裕があれば店頭買取を勧める、というのが安場さんの答えです。
石材店は、すでに店や事務所を持っていることが多い業種です。
新しく買取を始めるときに、どの形から入るかを、買取業界の専門家である安場さんに聞きました。
買取業界専門家・安場さんの回答
未経験の人が最初に始めるなら、どの形がいいですか。
やりやすさでいくと、催事買取、次に出張買取です。
ただし出張買取は、お客様のハードルが高く、いろいろトラブルもあります。
店頭は、店があるとお客様に安心感があります。
費用に余裕がある方には、店頭買取を勧めます。
店や事務所があれば、ご家族に品物を持ってきてもらう形も取れます。
営業所での買取なら、訪問購入の決まりはかかりません。
3つの形の費用の違いは、店頭・出張・催事。買取の3つの形を、お金で比べる。で比べています。
始める順番
相談の受け方と切り出し方を決め、古物商許可を取り、売り主の確かめ方を決めてから、貴金属など相場が公開されている品に絞って始めます。
-
相談の受け方を決める
墓じまいの打ち合わせでは、こちらから買取を持ち出さない。
ご家族から話が出たときの一言を、全員でそろえます。
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古物商許可を取る
手数料は19,000円、審査は40日前後です。
店や事務所を営業所にすれば、持ち込みの買取もできます。
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売り主の確かめ方を決める
仏具は祭祀を引き継いだ方、ほかの遺品は相続人。
きょうだいの了承の有無を聞く項目を、受付の用紙に入れます。
-
訪問購入の書面を用意する
家に伺って買う場合の書面と、8日間の伝え方を、伺う前に決めておきます。
-
扱う品を、貴金属などに絞る
仏具に金が使われているか、遺品の指輪が何でできているか。
刻印と重さで見る品からです。
見分け方は金の本物と偽物に。
墓じまいから仏壇、実家の物まで、ご家族が何度も業者を探し直さずに済む。
その形を、決まりを守って作れるのが、最初に相談を受ける石材店です。
よくある質問
- 石材店が、墓じまいのついでに仏具や遺品を買い取るには許可が要りますか。
- 要ります。
品物を買い取って売る、委託を受けて売る、のどちらも古物営業にあたり、都道府県公安委員会の古物商許可が必要です(古物営業法第3条)。
墓石の撤去や仏壇の処分の手配だけなら、古物商許可は関係しません。
- 仏壇や仏具は、誰から買い取ればいいですか。
- 仏壇や仏具などの祭具は、民法第897条で、相続の決まりとは別に、祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぐとされています。
売り主は、その祭祀を引き継いだ方です。
貴金属や時計など、ほかの遺品は相続人が引き継ぐため、売り主が変わります。
- 墓じまいを頼んできた長男から、実家の遺品を買い取ってもいいですか。
- 遺産分割が済んでいなければ、遺品は相続人全員の物です。
長男の方だけの判断で買い取ると、あとでほかの相続人と揉める原因になります。
相続人全員の了承があるかを確かめてから買い取ります。
判断が難しい場合は、司法書士や弁護士にご相談ください。
- 霊園で、ご家族から仏具を受け取って買い取れますか。
- 古物営業法では、古物商が古物商以外の人から買い受けるために品物を受け取れるのは、自社の営業所か、相手の住所・居所とされています(あらかじめ届け出た仮設店舗を除く。第14条)。
霊園や墓地はこれにあたらないため、店や事務所に持ってきてもらうか、ご家族の家に伺って受け取ります。
- 仏壇そのものは、買い取れますか。
- 仏壇を買い取るかどうかは、売り先があるかで決まります。
売り先がなく値段が付かない場合は、処分として扱います。
処分として運ぶ場合は、市区町村の一般廃棄物の許可か、許可業者への委託が要ります。
仏壇の中や引き出しの物は、仏壇とは分けて見ます。
- 墓じまいの打ち合わせの席で、買取の案内をしてもいいですか。
- こちらから持ちかけるのは避けてください。
お客様の家での打ち合わせなら、特定商取引法の訪問購入で、勧誘の要請をしていない人への勧誘が禁じられています。
ご家族の側から仏壇や家の物の相談が出たときに、片付けの手伝いの一項目として案内します。
この記事は2026年10月10日時点の法令と公的な資料をもとに書いています。改葬の許可と令和4年度の改葬件数(151,076件)は厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み」(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001321227.pdf、統計は衛生行政報告例)、祭祀財産と相続は民法第896条・第897条、古物営業の許可・受け取る場所・本人確認・帳簿は古物営業法第2条・第3条・第14条・第15条・第16条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108)、無償で引き取った物の販売の扱いは愛知県警察の古物営業のよくある質問(https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/sonota/qanda.html)と熊本県警察の案内(https://www.pref.kumamoto.jp/site/police/128250.html)、訪問購入の決まりは消費者庁の特定商取引法ガイド「訪問購入」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/)、申請手数料(19,000円)と審査期間(40日前後)は熊本県警察の案内によります(いずれも2026年10月10日確認)。始める形についての考えは、買取業界専門家・安場さん(古物査定の窓口)の回答です。相続と許可の判断は、司法書士・弁護士・管轄の警察署にご確認ください。