他業種からの参入
古着屋が、ブランドバッグ・時計・貴金属まで買う。許可はある。足りないのは、見る所です。
古着の買取をしていると、服と一緒に、バッグや時計や指輪が持ち込まれます。「うちは服だけなので」と返している品です。古着屋には、古物商許可も、店も、買取の流れもあります。足りないのは、扱う区分と、高額品を見る目と、本人確認の運用の3つです。順に書きます。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年10月10日
更新 2026年10月10日
この記事は業者向けです。
古着屋、アパレルのリユース店など、すでに古物商許可を持って衣類を買い取っている店の方に向けて書いています。
先に結論安場さん
- 古着の区分は2番の衣類です。
バッグ・靴は11番の皮革・ゴム製品類、時計・貴金属・宝石は3番の時計・宝飾品類(古物営業法施行規則第2条)
- 区分を足すのは変更の届出です。
変更の日から14日以内(登記事項証明書を付ける場合は20日以内)に、警察署を通して出します(施行規則第5条)
- 古着は1回の取引が1万円未満で本人確認が要らないことがありますが、高額品は1万円以上になりやすく、本人確認と台帳が毎回要ります(古物営業法第15条・第16条、施行規則第16条)
- 見る所が変わります。
古着は状態と売れ筋、バッグ・時計は当社の査定基準の内か外か、貴金属は素材と重さです
- 最初は貴金属から。
相場が公開されていて、売り先がはっきりしています
古着屋が持っているもの、足りないもの
古着屋は、許可と店と買取の流れを持っていて、足りないのは区分と、高額品を見る目と、本人確認の運用です。
ゼロから買取店を始める人に比べると、出発点がまったく違います。
すでに持っているもの
古物商許可。
品物を持ち込むお客様。
査定して、値段を伝えて、買う流れ。
買取の土台は、もうできています。
足りないもの
バッグ・時計・貴金属の区分。
1点の値段が大きい品を見る目。
1万円を超える取引が増えたときの本人確認と台帳の運用。
服を持ち込むお客様の家には、服以外の品もあります。
いつも服を売りに来てくれる方なら、「この店なら」と思ってもらえる土台もあります。
断っている品を受けられるようにする話です。
バッグ、時計、貴金属。
古着とは、区分も見る所も違います。
区分を足す
古着は2番の衣類で、バッグ・靴は11番、時計・貴金属・宝石は3番なので、扱うなら変更の届出で区分を足します。
古物営業法施行規則の第2条で、古物の区分は13に分かれています(e-Gov法令検索、2026年10月10日確認)。
| 扱う品 | 区分(施行規則第2条) | 条文に書かれている中身 |
| 古着 | 2番 衣類 | 和服類、洋服類、その他の衣料品 |
| ブランドバッグ・財布・靴 | 11番 皮革・ゴム製品類 | カバン、靴等 |
| 腕時計・指輪・ネックレス・宝石 | 3番 時計・宝飾品類 | 時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等 |
区分は、許可申請書に書く事項のひとつです(古物営業法第5条第1項第3号)。
変更があったときは届け出ます(第7条第2項)。
施行規則では、変更の日から14日以内(登記事項証明書を付ける場合は20日以内)に、警察署を通して届出書を出すとされています(施行規則第5条第6項)。

届け出る前に、管轄の警察署に聞いておきます
区分の線引きで迷う品があります。
たとえば、ブランドの財布や小物がどの区分か、地金だけの扱いがどの区分か。
扱い始める前に、品物の例を挙げて警察署に確かめると、あとで食い違いが出ません。
区分の全体は
古物商の13品目で整理しています。
古着と高額品で、見る所が違う
古着は状態と売れ筋を見ますが、バッグ・時計は当社の査定基準の内か外か、貴金属は素材と重さを見ます。
同じ「買取」でも、確かめる順番が入れ替わります。
| 品 | まず見る所 | くわしくは |
| 古着 | 状態(汚れ・傷み)、サイズ、いまの売れ筋。 自分の店で売れるかが軸 | — |
| ブランドバッグ | 金具、縫製、刻印などを見て、当社の査定基準の内か外か。 付属品の有無 | ルイ・ヴィトンの見方・シャネルの見方 |
| 腕時計 | 型番と製造番号の組み合わせ、部品が替わっていないか、動くか | ロレックスの見方 |
| 貴金属 | 刻印、素材の確かめ、重さ。 刻印は材質の申告で、保証ではありません | 金の刻印の見方 |
古着は、見立てが外れても1点の損は小さい商材です。
高額品は、1点を見誤るだけで、損が大きくなります。
同じ感覚で値段を付けないことが、いちばんの注意点です。
買取業界専門家・安場さんの回答
ブランド品の偽物は、どれくらい持ち込まれますか。
店頭を構えれば、持ち込みの頻度は高くなります。
出店エリアでも変わります。
都心部・都会は多く、郊外は少ない印象です。
出張買取は店頭買取に比べると少ないですが、それでもゼロではありません。
注意が必要です。
小さい店舗を狙ってくる悪い人たちもいます。
頻度は安場さんの印象で、数字ではありません。
ただ、店を開けて人が来る古着屋は、持ち込みが多くなる形の店です。
ブランド品を受け始めたことが知られると、基準外の品を持ち込む人にとっても入りやすい店になります。
本人確認と台帳の運用が変わる
1回の取引の対価が1万円以上になると、相手の住所・氏名・職業・年齢の確認と台帳への記録が毎回要ります。
古物営業法は、買い受けるときに相手の確認を求め(第15条第1項)、取引ごとに帳簿への記録を求めています(第16条)。
対価の総額が1万円未満の取引は、確認が要らない例外があります(第15条第2項第1号、施行規則第16条第1項)。
古着の買取で多い形
1回の取引が1万円未満に収まることがある。
その場合は、確認も台帳への記録も要らない(第15条第2項・第16条ただし書)。
高額品の買取で多い形
1点で1万円を超えやすい。
服とまとめて買えば、総額で1万円以上になる。
確認と台帳は毎回です。

1万円は「1点」ではなく「1回の取引の総額」です
条文は「対価の総額」と書いています。
服10点とバッグ1点をまとめて買えば、その合計で判断します。
また、1万円未満でも確認が要る品があります(ゲームソフト、CD・DVDなど・施行規則第16条第2項)。
服と一緒に持ち込まれやすい品なので、店の流れに入れておきます。
台帳は、最後に記載した日から3年間保存します(第18条)。
もうひとつ変わるのは、盗品が混じったときの重さです。
買い取った品が盗品だった場合、被害者は、盗難から1年以内なら古物商に無償で返すよう求められます(第20条)。
不正品の疑いがあれば、直ちに警察官に申告します(第15条第3項)。
確認のやり方は本人確認の方法、記録は古物台帳の書き方にまとめています。
売り先と在庫の考え方
古着は自分の店で売る商材ですが、貴金属は買ったらすぐ売り先に流せるので、在庫の持ち方が変わります。
安場さんは、買取の商売の良さを、在庫の持ち方で説明しています。
買取業界専門家・安場さんの回答
買取と物販は、何が違いますか。
物販は、いかに在庫を持つかがポイントです。
買取ビジネスは、いかに在庫を持たずに早く現金化するか、在庫を最小限にできるか。
つまり、弱者でもできるビジネスなのが良いところです。
古着屋は、買った服を店に並べて売る、在庫を持つ商売です。
貴金属は、店に並べなくても、地金商や精錬業者などの売り先に流せます。
バッグや時計は、店頭で売るか、業者の市場に出すかを先に決めます。
どの品も、売り先の値段から逆算して買値を決めるのは同じです。
やり方は買取価格の決め方、金・プラチナの売り先は金・プラチナの売り先、業者の市場は古物市場とはをご覧ください。
始める順番
区分を確かめて足し、本人確認の流れを高額品に合わせてから、貴金属を最初の品にして始めます。
- いまの許可の区分を確かめる
2番の衣類だけか、ほかも入っているか。
3番・11番が入っていなければ、変更の届出です。
- 本人確認と台帳を、高額品に合わせる
1万円以上の取引は毎回確認します。
服とまとめた取引の総額で判断する流れにします。
- 最初の品を、貴金属にする
相場が公開されていて、素材と重さで値段の根拠が取れます。
- 売り先を決める
買う前に、誰に・どこで売るかを決めます。
ここが決まると、買値が計算できます。
- 買わない基準を決める
判断がつかない品は買わない、と先に決めます。
店頭で迷う姿を見せるより、お断りするほうが信頼を損ないません。
- 見る目を作る
バッグと時計は、基準内の品と基準外の品を並べて、手に取って覚えます。
古着で積み上げた、お客様との付き合いと買取の流れは、そのまま使えます。
そこに区分と、見る目と、確認の運用を足す。
それが、古着屋が扱いを広げるということです。
よくある質問
- 古着屋の許可で、ブランドバッグや時計も買い取れますか。
- 扱う区分が許可に入っていなければ、足す必要があります。
古着は2番の衣類、バッグ・靴は11番の皮革・ゴム製品類、時計・貴金属・宝石は3番の時計・宝飾品類です(古物営業法施行規則第2条)。
区分は許可申請書の記載事項なので、変更があったときは届け出ます(古物営業法第7条第2項)。
- 区分を足す届出は、いつまでに出せばいいですか。
- 施行規則では、変更の日から14日以内(登記事項証明書を付ける場合は20日以内)に、警察署を通して届出書を出すとされています(施行規則第5条第6項)。
区分の線引きで迷う品がある場合は、扱い始める前に品物の例を挙げて管轄の警察署に確かめてください。
- 古着の買取で、本人確認をしていない取引があります。高額品でも同じでいいですか。
- 同じではいけません。
本人確認が要らないのは、1回の取引の対価の総額が1万円未満の場合です(古物営業法第15条第2項第1号、施行規則第16条)。
ただし、ゲームソフトやCD・DVDなどは、1万円未満でも確認が要ります。
高額品は1点で1万円を超えやすく、服とまとめて買えば総額で判断します。
1万円以上なら、住所・氏名・職業・年齢の確認と台帳への記録が毎回要ります。
- 古着屋が最初に扱うなら、どの品がいいですか。
- 貴金属をお勧めします。
金・プラチナは相場が公開されていて、刻印・素材の確かめ・重さで値段の根拠が取れ、売り先もはっきりしています。
ただし刻印は材質の申告で、保証ではありません。
見方は当サイトの金の刻印の記事にまとめています。
- ブランドバッグの見分けは、古着の目利きで足りますか。
- 足りません。
古着は状態と売れ筋を見ますが、バッグは金具・縫製・刻印などを見て、当社の査定基準の内か外かを判断します。
見立てが外れたときの損の大きさも違います。
基準内の品と基準外の品を並べて手に取りながら覚えるのが近道です。
- 盗品だった場合は、どうなりますか。
- 買い取った品が盗品だった場合、被害者は盗難から1年以内なら、古物商に無償で返すよう求められます(古物営業法第20条)。
不正品の疑いがあれば、直ちに警察官に申告する義務があります(第15条第3項)。
高額品を扱うほど、本人確認と台帳がこの備えになります。
この記事は2026年10月10日時点の法令をもとに書いています。区分の線引きと届出の手続きは、管轄の警察署にご確認ください。
出典:古物営業法(e-Gov法令検索)(第5条・第7条・第15条・第16条・第18条・第20条)、古物営業法施行規則(e-Gov法令検索)(第2条・第5条・第16条)(いずれも2026年10月10日確認)。
「当社の査定基準の内か外か」は、古物査定の窓口の判断の言い方です。「買取業界専門家・安場さんの回答」は2026年10月5日に当社が聞き取った内容で、偽物の持ち込み頻度は安場さんの印象です。